On July 13, the Japanese paper craft artist, Wakako Ishisone, the bonsai master, Koji Nagasawa and YUKIMONO gathered in the Tokonoma-room of Takao-komagino-teien. Let's see how we display for July.
東京・八王子市にある高尾駒木野庭園の古民家で、表装造形家・石曽根和佳子(いしそねわかこ)さんの掛軸が飾られています。石曽根さんの作品に魅了されたYUKIMONO主催者のわたくしが、盆栽と一緒に飾ったら来訪者に喜ばれるのではと、同庭園の盆栽管理者である盆栽家・長沢孝二さんにご相談したことから,
2019年の4月に始まりました。月替わりで、古民家内の床の間2カ所に、掛軸と盆栽を飾っています。
7月13日の土曜日、7月の飾りのために3人が集いました。プロジェクトの第3回目です。今回はどんな掛軸と盆栽が新しい空間をつくりだすでしょうか。さっそく拝見していきましょう。(6月の飾りはこちらとこちらをご覧くださいませ)
作品1: 扇面軸 Fan
表装に使われているのは、青色が鮮やかな葛布です。江戸時代に使用された裃の布をほどいて仕立てたと、石曾根さん。中心には、きらびきの紙に和歌が筆書きされた、扇面を飾っています。
短歌:秋靄(あきもや)や おし年(ね)の蛍 飛(ひ)かふもすかるも おなし影の涼しさ
蛍の鑑賞時期はいつかご存知でしょうか?各地で異なるようですが、一般的にピークは6・7月のようです。見ごろの時期を過ぎた8月に入っても蛍が飛んでいる、その初秋の様子をこの歌は詠んでいます。
床の間に飾ると、葛布のブルーが鮮やかに見えます。全体でグラデーションがかかった濃淡の違いもあって、たいへんシンプルな掛軸であるのに、美しく、かつ上品な存在感があります。下に、ふんわりとした草物盆栽を添えました。
作品2: カブトムシ軸 Beetle
カブトムシの墨絵を、質感の異なるさまざまな黒色布でパッチワークのようにあしらった、変わり貼り表具の掛軸です。石曾根さんが、およそ10年前に作ったものです。
全体には黒っぽく見えますが、それぞれの布をよく見ると、一つひとつが異なっています。古代絓(しけ)、紬、黒箔など、質感の独特な古い絹の布を、バランスを考えながら継ぎ合わせて一つの作品に完成させています。すべて明治時代半ば以降の着物に使われた布だそうです。石曾根さんが、表情に違いのある黒い布にこだわったこと、ところどころに白布を効かせたことで、モダンさも感じられるユニークな作品に仕上がっています。
左に向けて、カブト虫がいかにも飛び出そうとしている様子なので、その方向に空間をつくり、実物の盆栽を右流れで配置しました。ここに置かれているのは山ぶどうです。作品1でご紹介した「扇面軸」とは異なる雰囲気の空間が生まれています。
次回は8月の予定です。