2019年6月24日月曜日

The June display of Hanging Scroall and Another Bonsai at Takao-komagino-teien

The project "Displaying Hanging Scroll with Bonsai Every Month" has started at Takao-komagino-teien in Tokyo last April. The purpose is to deepen our understanding of Hanging Scroll and explore how to display beautifully with bonsai.

東京・八王子市にある高尾駒木野庭園の古民家で、表装造形家・石曽根和佳子(いしそねわかこ)さんの掛軸が飾られています。石曽根さんの作品に魅了されたYUKIMONO主催者のわたくしが、盆栽と一緒に飾ったら来訪者に喜ばれるのではと、同庭園の盆栽管理者である盆栽家・長沢孝二さんにご相談したことから,
2019年の4月に始まりました。月替わりで、古民家内の床の間2カ所に、掛軸と盆栽を飾っています。

前回、6月1日に掛軸を入れ替えました。今回は添えの盆栽が変わったので、雰囲気の違い見ていただくべく、写真を撮りました。


しもつけ
「風」というモダンな掛軸に、高さのある草物盆栽(しもつけ)が添えられています。サワサワと風にゆらぐ涼し気な風景が広がります。


こちらは「七夕」に合わせた掛軸です。
うっすらとピンクを感じさせる、つくしからまつのふんわりした盆栽が、綾織のかっちりした掛軸と合わさって、空間に柔らかさを添えています。
つくしからまつ

つくしからまつが植えられた鉢の黄色も美しい。アクセントになっていますね。

2019年6月9日日曜日

The June display of Hanging Scroall and Bonsai at Takao-komagino-teien



The project "Displaying Hanging Scroll with Bonsai Every Month" has started at Takao-komagino-teien in Tokyo slast April. The purpose is to deepen our understanding of Hanging Scroll and explore how to display beautifully with bonsai.

On June 1, the Japanese paper craft artist, Wakako Ishisone, the bonsai master, Koji Nagasawa and YUKIMONO gathered in the Tokonoma-room of Takao-komagino-teien. Let's see how we display for June. 

東京・八王子市にある高尾駒木野庭園の古民家で、表装造形家・石曽根和佳子(いしそねわかこ)さんの掛軸が飾られています。石曽根さんの作品に魅了されたYUKIMONO主催者のわたくしが、盆栽と一緒に飾ったら来訪者に喜ばれるのではと、同庭園の盆栽管理者である盆栽家・長沢孝二さんにご相談したことから始まりました。

6月1日の土曜日、6月の飾りのために3人が集いました。試みの第2回目です。今回はどんな掛軸と盆栽がディスプレイされるでしょうか。さっそく拝見していきましょう。(5月の飾りはこちらをご覧くださいませ)




作品その1:七夕  The Star festival

掛軸を広げると、地味だけれどゴージャズな青い布に目が引かれます。江戸時代の古い紋織物の生地で表装されています。錦や綾織りなどに使われた空引機(そらひきばた)で織られた布だろう、と石曾根さん。現在では使われていない織り方だそうです。
七夕をテーマにした和歌が表装されています。少し早いけれど、6月の下旬には、七夕のイベントが高尾駒木野庭園では開催されます。石曾根さんは、季節にちなんだ掛軸を持ってきてくださいました。

和歌は次のように書かれています。
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七夕
索餅

誰も今日 身のうきことは索餅を 星空向かえ 君を捧げむ

ーーーーーーーーーー
索餅(さくべい)とは、奈良時代に中国から日本へ伝わってきた小麦粉のお菓子のこと。いろいろ検索して調べたところ、日本では平安時代の頃から、このお菓子を七夕に食べる習慣があったそうです。書かれている和歌の意味はわからないのですが「索餅」を季語に七夕を詠んでいますね。

さまざまな色が重ねられた美しい色紙に、歌がさらさらと書かれています。色紙というと、現代の私たちはサインを書いてもらうときに使う正方形の台紙をイメージしてしまいますが、江戸時代の色紙は薄い紙だったようだと石曾根さんは教えてくださいました。
和歌が書かれた色紙を掛軸に仕立てて床の間に飾ることを昔はしていました。色紙をある程度の大きさに切り、そのままでは小さいので台紙となる白い紙を張ってサイズを調整しました。台貼り表具という方法です。

いったん眺めてみようと、床の間にかけてみました。地のブルーが浮き立つように映えて見えます。天然の素材で染められた布なので、退色しても鮮やかさが残るのでは、と石曾根さんは言います。

長さが少し短めだったことで、別の床の間でも試してみることにしました。
すっきり収まった感じがします。7月7日まで、この掛軸はここで飾られることになりました。


作品その2:風     Winds
ほかにも、石曾根さんが持ってきてくださった作品を拝見していきましょう。こちらは、書家の方が書かれた「風」という文字があしらわれた掛軸です。
従来の掛軸の形式から離れ、コンテンポラリーな印象を受ける作品です。
上部から2本、銀色の細長い布が垂れ下がっています。これは風帯(ふうたい)と呼びます。石曾根さんが銀地に墨色をのせて渋く仕上げたそうですが、このシルバーの帯2本が、ビシッと決めてくれている感じがします。

少し、飾り方を試してみることにしました。いかにも盆栽らしい盆栽と、コンテンポラリーな掛軸は、案外が合うのではないでしょうか……
……と思ったのですが、うーん、もう少し盆栽が小さいとよいのか……いえ、サイズの問題というより、どちらも造形として完成しているため、主張し合ってちょっと喧嘩してしまって見えます。
長沢さんが、やや大きめな草物の盆栽を置きました。このくらいのほうがよいのかな。
くさものがさり気なく配置され、「風」の掛軸が引き立って見えます。
作品性の高いユニークな掛軸ですが、床の間にかっこよく収まりました。くさものの盆栽が添えられることで、品の良い空間がつくられています。
10時から始めて、どこに何をどう飾るかを決めるまで、今日はおよそ2時間半をかけました。持ってきていただいた作品をどのような素材で表装されたのか、掛軸そのものの解説、飾り方、組み合わせ方についての考えなど、石曾根さんと長沢さんのお話は、ずっと続きます。掛軸と盆栽にかかわる勉強会に参加させていただいた気分です。

掛軸と盆栽を飾る試みについて、ここまでご覧いただきありがとうございました。次回は7月13日に実施します。